ひなた・はうすのはじまり

天真爛漫で、にこにこ笑顔がとてもキュートな男の子。我が家の次男トモは、アスペルガー症候群という軽度発達障害を持って生まれてきました。
アスペルガー症候群は、生まれつきの脳の機能障害である、自閉症の一つのタイプで、他の人と社会的関係をもつこと、 コミュニケーションをすること、想像力と創造性(ごっこ遊びやこだわりと関係する)の3分野に障害を持つことで診断されます。
トモは、人の気持ちを考えたり、その場の雰囲気を読んで、今自分は何をするべきなのか判断する力が弱いです。とてもおしゃべりですが、自分の関心のあることを一方的に話すことが多いです。また、自分の好きなことはとことんやるけれど、そうでないことは全く興味を示さなかったり、一つのことを終えて違うことに取りかかるときや、気持ちなどを切り替えるのに、時間がかかります。わがままでやっているわけではないのに、そう思われやすいところがあると思います。
小さい頃は多動もあり、ちょっと目を離すとどこへ行くかわからないトモを、いつも追いかけていなければなりませんでした。また、幼稚園のお友達を突き飛ばしていた時期もありました。何度言っても、話の内容がトモの心に届いていかないような感じに、「どうしてこうなんだろう!」と、疲れ果ててしまうこともしばしばでした。
幼稚園の先生の勧めもあって、4歳直前に専門機関を受診し、診断を受けました。アスペルガーだとわかったところで、どうしていけばいいのかはよくわかりませんでしたが、ありのままの彼を受けとめるところから始めよう と意識するようになりました。トモととことん向き合ってみると、トモが純真で、発想がおもしろく、家族をホットな気持ちにさせてくれるなど、素敵なところもたくさん見えてきました。少し見方を変えただけで、全然余裕がなかった私の心の中に、「あったかいひなたのかたまりみたいなもの」が芽生えてきたように思います。
トモはもちろん、以前よりはゆったりと、長男を見る機会を与えられ、子どもたちとのかかわりの中で、そして、まわりのあたたかい人たちにささえられて、そのかたまりは、少しずつ大きくなっていくように感じます。
日々、迷うこと、悩むことがいっぱいの母ですが、いろんな方との交流を広げながら、心の中に、「あったかいひなた」を持ち続けていきたいな。
ひなた・はうすの"ひなた"には、こんな思いが込められています。

2003年 7月




 みなさんにお願いしたいこと

親でも、トモのことを理解するのに、ずいぶん時間がかかりました。いえ、まだわかっていないところもたくさんあることでしょう。それなのに、みなさんにお願いするのは、ずうずうしいのかもしれません。でも、これからどんどん社会とのつながりを深めていくトモに、親がしてやれることは限られています。
そして、トモのように、発達にでこぼことかたよりがあって、パッとみただけではわからない、けれども、社会の中で生きていくには「困難さ」を抱えている人たちは、ともすると、「わがままだ。」「我慢が足りない。」「へんなやつ。」と、誤解を受けてしまうことが多いのです。
だけど、それは、けっして本人のせいではなく、親の育て方のせいでもなく、脳の機能の特性によるものだと、ご理解いただいたうえで、「個性」と認め、ごく自然に受け入れてもらえたら、本人にとってはもちろん、親にとっても、とても気持ちが楽になることでしょう。
トモがよくないことをしたら、注意してください。トモのやったことで、いやな気分を味わったのなら、伝えてやってください。でも、すぐにできないからといって、だめなやつだと、どうか思わないでください。そして、トモのなかで、いいな、好きだなと思うところがあったら、好きになってあげてください。トモは、人の気持ちに気がつきにくいところがありますが、好きなお友達には、いっしょうけんめいです。
でも、このように書いてみると、わたしがみなさんにお願いしたいことは、「困難さ」を持っているいないにかかわらず、きっと、みなさんもみなさんのまわりの人に、そう思われたらいいな、と感じることじゃないでしょうか?
だから、わたしも、みなさんのことを、そう思いたい、好きになりたいです。
人間ですから、性格の合う合わないはあると思いますが、たとえ自分に合わないという印象を持ったとしても、その人のよいところは、お互いに認め合いたいものです。

2003年 7月




 兄弟 どう感じているんだろう

自閉症の家族だけでなく、今まで自閉症のことをまったく知らなかった方からも、大反響をよんでいるという『光とともに』の作者・戸部けいこさんを迎えての再放送を先日見た。
漫画『光とともに』は、以前「ことばの教室」でお借りしたことがあって、3巻まで読んだことがある。 そのとき、わたしが涙をぽろぽろこぼしながら読んでいるのを見て、当時3年生だったタイもあれっ?と思ったのだろう、わたしの横で一気に読んでしまった。

この日もわたしがTVを見ていたら、タイもやってきて、一緒に見始めた。
「この漫画は、自閉症のことを初めて知った方にも、よくわかっていただけたことと思います」というところでは、タイも大きくうなずいていた。
番組では、4巻の紹介も少ししていて、「お母さん、4巻買おうよ。」とタイが言った。

タイは、トモが、順番を守れなかったり(でも、だいぶ守れるようになったけど)、人の気持ちがよくわからなかったり、注意されてもなかなか直せなかったり、というところがあるから、幼稚園のとき「ことばの教室」へ通級していた、と理解しているようだが、トモがどうしてそうなってしまうのかは、わかっていないと思う。
でも、わたしが、『自閉症』や『アスペルガー』の本を、ときどき読んでいるのには、すごく関心を示しているようだ。 何かを感じているのかなぁ、と思うときもある。
そのうち、何か聞いてくるのかな? 自分で調べたりもするんだろうか? そのまえに何か話した方がいいのかな? 心が揺れる母である。

我が子のことは、親はちゃんと受け止めているつもり。
でも、兄弟は、どのように受け止めているんだろう? 負担に思ったり、親の手が他の兄弟にとられがちなのを寂しく思ったりするのだろうか?
「人はそれぞれ違っていていいんだよ。」ということや、タイに手伝って欲しいことは折に触れて話しているので、今のところは、このまま自然にやっていけばいいかな?と思ってはいるが、よそのご家庭のこともお聞きしたいと思うときもある。

トモを、家族みんなでどう受け止めささえていくかを考えることが、家族一人一人を大切に思うことへと、つなげて考えていけると本当にいいと思う。
へへへ・・・、我が家は、まだまだまだまだ・・・だけど。

2003年 9月




 「光とともに・・・4」を読んで

戸部けいこさんの漫画「光とともに・・・4」を読んだ。
1〜3巻もそうだったが、この本は、いつも泣けてしまう。
自閉症に対するまわりの理解のなさに憤りを感じ、光君のお母さんの気持ちに、ひとつひとつ共感しては涙を流す。
それでも、光君と家の中にこもったりせず、まわりの人たちに働きかけながら、お母さんがだんだんと強くなっていくところがすごくいいと思う。
まっすぐな光君とお母さんのひたむきさは、光君親子と関わっている人たちの心をあたたかくし、自然に巻き込んでいってしまう。

今回のお話は、今まで恵まれていたともいえる光君の環境が、大きく変わった。波乱のときである。
しかし、そのなかでも、光君と長い付き合いの子どもたちが、とても柔軟に自然に、光君たちを受けとめている姿に、なんだかとてもうれしくなった。
そして、もちろんきちんと勉強して、専門家としての知識のある先生がいいには違いないのだが、ひとりひとりの子どもの気持ちを受けとめようとする姿勢と、親たちとともに話し合ってすすんでいこうという熱意のある先生ならば、きっと一緒に成長していけるのでは・・と感じた。光君のお母さんたちも、またひとまわりたくましくなるのである。

この待望の4巻は、トモが通級していた「ことばの教室」文庫でお借りした。(ありがとうございました。)
学校から帰ってきたタイも見つけるなりパッと目を輝かせて、
「お母さん、買ったの?」(ブッブー!)
ところで、やっと4巻が読めたのだが、世間では、この12月4日に5巻が出たそうな(笑)。郡司先生、それからどうなったのかなぁ。

2003年 12月




 ドラマ「光とともに・・・ 〜自閉症児を抱えて〜」の最終回を終えて

このドラマに限らず、自閉症をテーマとしたTV番組をやるという情報を聞くと、「わかりにくい、自閉症という障害のことが伝わる内容になっていたら」と強く願わずにはいられないところだが、このドラマは、そういう願いに応えながらも、あたたかい人間愛を毎回感じさせてくれたと思う。
すごく簡単に書いてしまうので、ドラマを見てなかった方には、わかりにくくて申し訳ないということを前置きの上で、読んでいただけたらと思う。

家族が、光くんの障害を知って、苦しみながらも受け入れる過程。
そして、まわりからみれば、ほんのささやかな・・かもしれないが、光くんの成長を、二人三脚で見守り、心から喜び合える夫婦。
光くん親子の子育てに接して、光くんのママのように、がんばったことを心からほめてあげられるママになりたいと思う、交流学級1年1組のクラスメートの母親。
光くんを通して、我が子のいいところを発見する父親。
深く考えず、光くんのものまねをしていたが、担任の先生のつたないながらも心のこもった涙の説明で、その気持ちを理解するクラスメートの女の子。etc・・・

そして、光君のお母さんのいらだち、喜びやせつない思いには、毎回涙を流して共感した。

最終回では、今まで、光くん親子を常にサポートし、きめ細かな配慮と工夫で、光くんのよさを見つけ出してくださっていたあさがお教室の先生が、発達障害をもう一度学びなおすために、学校を辞める。
後任は、自閉症について全く知らない先生。光くんは、これからどうなるのか?というところで終わるのである。
続編を作るつもりなのか?と期待は高まる。

何ヶ月もかけて、自立登校をやりとげた光くんの成長やあさがお教室の先生のお別れ会で、終わらせることもできたはずなのに、どうして中途半端な終わり方をしたのだろうか?
でも、単に感動的に終わってしまっては、いけないような気もする。
まわりで的確な援助をすれば、乗り越え、成長へとつなげていけることが、配慮がないために、どれほど本人やまわりが苦しむことになるのか、そういうことも暗示しているかのように思えてならない。
(でも、原作を読んでいなければ、伝わらないか・・・。)

最後に、わたしが、ドラマを見ていて、いつも感じることを書いてみた。
感じることだから、ひとりひとり違うとは思うけれど・・・。

ドラマ「光とともに・・・」効果
共感することがたくさんで、涙なしには見られない。
でも、悲しい涙なんかじゃない。
涙を流しながら、心の中がぽわぁとあたたかくなっていくのである。

主題歌「万華鏡キラキラ」効果
ドラマの最後に、この曲が物語にかぶさるように流れてくると、胸がきゅんとなる。
まるで心に、きれいな水がしみわたっていくよう。
せつなくも、世の中の汚いものから、心が洗われていくように、感じるのである。

2004年 6月

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